2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい外リンパ瘻診断マーカーCTPの時空間的発現の検討
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21791651
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
新藤 晋 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00350067)
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Keywords | 内耳 / CTP / 外リンパ瘻 / ウェスタンブロット |
Research Abstract |
近年、cochlinのアイソフォーム(p40,p44,p63,CTP)の一つであるCTP(cochlin tomo-protein)は、内耳に特異的に発現していることから、外リンパ瘻の診断マーカーとして有用視されている。しかし機能を含めたその詳細についてはほとんど分かっていない。内耳の未熟な時期から、成熟する過程における外リンパにおけるCTPの発現パターンを解析する予定で研究を行った。CTPの発現パターンが良く知られているのはヒトであるが、胎生期の外リンパをサンプルとしなければならなくなるため困難である。このため実験動物として我々が普段から用いているラットを使用した。平成22年度は、生後ラット内耳発達過程におけるCTPの発現パターンの推移を確認する目的で、ウェスタンブロットの手法を用いた解析を行なった。その結果、外リンパにおけるCTPの発現パターンはラットの生後初期に最も多く発現を認め、内耳の成熟につれて減少することが明らかになった。この結果は従来分かっていたcochlinの他のアイソフォーム(主にp40)の発現パターンと全く異なっていることから極めて興味深い結果であった。さらにこの結果は、cochlinアイソフォームの形成メカニズムに関して重要な示唆を与えるものと考えられた。また外リンパをサンプルとして生後発達過程の特定タンパクの発現パターンを調べた研究は今までになく、今後、今まであまり研究されていない外リンパ中の各種タンパクに関する研究を行なうことにより、内耳研究のさらなる発展が望めるものと考えられた。
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