2009 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花粉抗原特異的IgE産生に関与する細胞・分子の同定
Project/Area Number |
21791652
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
金沢 敦子 Osaka Medical College, 医学部, 非常勤医師 (10531379)
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Keywords | スギ花粉 / 花粉症 / 抗原非特異的IgE / 抗原特異的IgE / 顎下リンパ節 / 鼻咽頭関連リンパ組織 |
Research Abstract |
スギ花粉症は、国民の25%以上が罹患すると推測される疾患であり、さらなる増加が懸念されている。特に若年層では、スギ花粉特異的IgE抗体の保有率が増加傾向にあり、抗原特異的IgEの産生をコントロールすることが、花粉症の罹患率低下につながると考えられるが、この産生機序の詳細は未だ明らかではない。本研究課題では、動物モデルを用い、スギ花粉の鼻粘膜曝露後の抗原応答部位を検索するとともに、抗原認識機構およびB細胞から形質細胞への成熟過程を細胞および分子レベルで検討する。 平成21年度、以下の結果を得た。(1)BALB/cマウスの鼻粘膜下にスギ花粉抗原を投与後、鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)および顎下リンパ節を経時的に採取し、それぞれの総細胞数を測定したところ、スギ花粉抗原投与後、NALTでは、細胞数にほとんど経時的変化は見られなかったが、顎下リンパ節では経時的に増加し、7~10日後には約3倍に増加し、2週間後にはほぼ元のレベルに復帰した。(2)顎下リンパ節細胞では、B細胞数が増加した。(3)得られたリンパ節細胞を6日間培養し、培養上清中のIgE産生量をELISA法で測定したところ、顎下リンパ節細胞では、非特異的IgE産生量が細胞数の経時的変化と同様に抗原投与後約10日にピークに達し、その後低下した。しかし、NALT細胞では、スギ花粉抗原投与後2週間のどの時点でも、非特異的IgEはまったく産生されなかった。(4)その他のリンパ節でも、細胞数や培養後の非特異的IgE産生量に大きな変化は見られなかった。 以上の結果は、抗原特異的IgEが産生される前に、抗原非特異的IgEが産生されること、鼻粘膜下に投与されたスギ花粉に対する所属リンパ節が顎下リンパ節であることを示唆しており、今後、非特異的IgE産生に関与する細胞や分子の同定が可能になった。
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Research Products
(3 results)