2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791655
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
泉川 雅彦 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (60434825)
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Keywords | Atoh1 / Skp2 / ネオマイシン / アデノウイルスベクター / 好感度難聴 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
「研究目的」である様に難聴モルモットの内耳であり、聴覚機能をつかさどる蝸牛の中に、運び屋であるアデノウイルスベクターを用いて蝸牛有毛細胞の発生に不可欠で、治療遺伝子となるAtoh1を中心に蝸牛再生に必要な遺伝子を導入し、治療困難な高度感音難聴治療をいかにして行うか検討した。難聴動物はアミノ配糖体であるカナマイシンの皮下注射と利尿薬であるエタクリン酸を静脈内投与することにより作製された。本研究の結果として、Atoh1遺伝子と蝸牛発生の初期のカスケードに重要な遺伝子であるSkp2遺伝子を組み合わせて難聴モルモットに投与すると、Atoh1遺伝子単独投与よりも有意に数多くの有毛細胞の再生を認めた。その確認は電子顕微鏡やサーフェイスプレパレーションによる組織標本の観察により行われた。 ここで問題が発生した。それは、カナマイシンとエタクリン酸の投与では中等度の感音難聴動物モデルしか作製できず、実際の臨床では聾に近い高度感音難聴症例が多いため、臨床に即した研究モデルとはいえないという点であった。そこで、異なったアミノ配糖体であるネオマイシンを使用して、さらに高度な感音難聴モデルを作製することに成功した。この難聴動物は蝸牛内に直接ネオマイシンを投与することによって作製された。この高度感音難聴動物にAtoh1遺伝子とSkp2遺伝子をアデノウイルスベクターによって蝸牛内に導入すると有意ではなかったが、コントロールであるアデノウイルスベクターのみの投与と比較して、蝸牛有毛細胞の再生が認められた。 以上により、内耳遺伝子導入法は現代の医学で根治的治療法がない高度感音難聴において、画期的な治療であり、内耳以外の標的臓器あるいは器官にも発展する可能性がある非常に有意義な研究プロジェクトと考えられる。
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Research Products
(1 results)