2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791656
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
桂 弘和 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90533761)
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Keywords | 耳手術 / 味覚障害 / 鼓索神経切断モデル / 神経栄養因子 / 顔面神経 / 三叉神経節 / モノフィラメント圧痛計 / ディスククリミネーター |
Research Abstract |
平成22年から平成23年に行なった耳手術症例は350例であり、うち半分以上が真珠腫性中耳炎であった。これらの症例では鼓索神経を切断もしくは障害される事が多く、術後に電気味覚検査で閾値が上昇する。我々は以前に真珠腫性中耳炎や慢性中耳炎などの炎症が存在する中耳炎では、術前の炎症によって鼓索神経が障害される事によって、非炎症耳に比べて有意に術前の電気味覚検査閾値が上昇している事を確認した。術前の味覚障害のない患者でこの電気味覚検査が術後上昇する患者では舌のしびれを有意に訴える事が判明した。顔面神経の神経枝である、鼓索神経が手術によって侵襲される事で、三叉神経支配の舌知覚に異常が出る事を確認した。この知覚異常をモノフィラメント圧痛計と2点間の識別能を調べるディスククリミネーターによって定量化し、術後の機械刺激に対する閾値が術前に比べて上昇していることを確認した。従来、舌の知覚神経は三叉神経であって味覚は顔面神経分枝の鼓索神経が支配しているとされていたが、我々の研究では術後の三叉神経閾値と術後の舌の痺れ感の間に有意な関係はなく、鼓索神経の障害こそが痺れの原因である事が判明した。またラット鼓索神経障害モデルにおいて、三叉神経や三叉神経節において、機械刺激受容体であるTRPV1やTRPA1などの発現変化を確認したが、有意ではなかった。これらの結果の一部について平成22年の耳科学会(松山)やDresdenでのCHEMOSENSATION(国際学会)で発表した。
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