2009 Fiscal Year Annual Research Report
鼻腔における温度センサーTRPチャネルの発現と機能の検討
Project/Area Number |
21791658
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柴田 美雅 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 助教 (90512187)
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Keywords | TRPチャネル / 温度センサー / 鼻 / ヒト |
Research Abstract |
鼻症状(くしゃみ・鼻漏・鼻閉)が温度と密接に関係していることを、我々は日常生活で体験しているが、鼻が如何に温度を感知し、どの様なメカニズムで鼻症状を引きは起こすかについては未だ判然としない。最近、基礎研究分野では、ポリモーダルなイオンチャネルである「TRPチャネル」が注目を集めており、その内、温度感受性を有するものが数種類存在する。本研究では、ヒト下鼻甲介を用い、各種温度感受性TPRチャネルの発現の検討を中心に、鼻症状出現のルカコズムを解明することを目的的としている。 まず、42℃以上の温熱で活性化されるTRPV1の発現について、以下のような蛍光免疫組織化学的染色法を用いて検討した。内視鏡手術で摘出したヒ下下鼻甲介を、4%パテホルムアルデヒドで-晩固定後、スクロース化し、ミクロトームで30μm厚の浮遊切片を作成した。1次抗体である抗ヒトTRPV1抗体にて4℃で二晩incubationを行った後、Alexa488付加2次抗体でincubationした。共焦点レーサー顕微鏡下に観察したところ、線毛上皮細胞および粘膜下の神経様線維に免疫陽性反応が見られた。 TRPV1は、pHが低下するとその活性化温度閾値が低下することが既に判明している。炎症をきたしている組織のpHは低下していることから、アレルギー性鼻炎や急性副鼻腔炎などの炎症を伴った鼻組織では、TRPV1が42℃以下の通常体温で活性化され、線毛運動の低下、腺組織からの鼻汁分泌の亢進、血管平滑筋の拡張や血管透過性の亢進を来たしている可能性が推測された。
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