2010 Fiscal Year Annual Research Report
視細胞変性へのカルパインの関与とその制御による新しい視細胞保護治療法の可能性
Project/Area Number |
21791662
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
目時 友美 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (00400169)
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Keywords | 網膜色素変性 / カルパイン / 視細胞 / アポトーシス / ミトコンドリア / 細胞質 / アポトーシス誘導因子 / RCSラット |
Research Abstract |
カルパインはタンパク質分解酵素で細胞質とミトコンドリアに存在する。本研究において申請者はRCSラット網膜変性においてミトコンドリアカルパインの活性が生後3週から4週齢にかけて細胞質カルパイン活性の上昇に先んじて上昇することを突き止めた。さらにミトコンドリアカルパインが細胞死の際に働くアポトーシス誘導因子をミトコンドリア内で活性化しミトコンドリアから核内への移行に関与することを明らかにした。これらの事実からミトコンドリアカルパインがRCSラット網膜変性の進行に関わっていることを予想し、カルパイン阻害剤によってカルパイン活性を抑制した時に網膜変性が抑制されるか否かを検討した。カルパイン阻害剤を生後25日と32日齢とに別々のRCSラット硝子体に注射したところ、ミトコンドリアカルパインの活性上昇が起きる生後25日齢の段階で硝子体注射を行った場合にのみ、ラット視細胞アポトーシスが有意に抑制され視細胞が保護されたのに対し、生後32日齢で注射した場合には有意な視細胞アポトーシスの抑制はみられなかった。この実験結果から、ミトコンドリアカルパインの活性上昇が始まる時点でカルパインを抑制した場合に視細胞アポトーシスが抑制され、細胞質カルパイン活性上昇が始まる時点でのカルパイン阻害剤注射は効果がなかったことが分かった。これらの結果は将来、カルパイン抑制を網膜色素変性の治療ターゲットとする場合に参考になる所見であると思われる。
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