2011 Fiscal Year Annual Research Report
N-cadherinを介した角膜上皮幹細胞維持機構の解明
Project/Area Number |
21791665
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 竜平 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70535278)
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Keywords | 幹細胞・前駆細胞 / 角膜上皮 / N-cadherin / 幹細胞ニッチ / メラノサイト |
Research Abstract |
本研究では、N-cadherinに着目し、角膜上皮幹細胞の未分化性維持機構の解明を試みた。これまでに、N-cadherin抗体を用いたN-cadherin結合阻害実験を行っているが、角膜上皮前駆細胞コロニーの形成に影響が認められなかった。これは、N-cadherin抗体の濃度が十分でない、または、N-cadherin抗体が中和抗体として機能していない可能性が考えられた。そこで、フィーダー細胞(3T3細胞)側のN-cadherin発現をsiRNAにてknock downすることによる、角膜上皮前駆細胞の生育への影響を検討した。その結果、N-cadherin発現を低下させた3T3フィーダー上では、上皮前駆細胞のコロニー数が減少した。また、培養中におけるN-cadherin発現の経時変化を検討したところ、N-cadherinは他の幹細胞マーカーに先駆けて、培養後速やかに発現は失われ、Day3-5においてほぼ消失することが明らかとなった。以上のことから、角膜上皮前駆細胞の生育阻害は、培養初期のN-cadherin接着阻害に起因している可能性が示唆された。 メラノサイトに関しては、これまでに単離・培養したメラノサイトがN-cadherin発現していることを明らかとした。そこで培養したメラノサイトをフィーダーに用いた場合の角膜上皮前駆細胞の生育について検証を行った。その結果、メラノサイトフィーダー上において角膜上皮前駆細胞はコロニーを形成しないのに対し、一方でメラノサイトの培養上清を角膜上皮前駆細胞培養系(3T3フィーダー)に添加することで、コロニー数およびコロニーサイズの有意な増加が認められた。 以上の結果から、N-cadherinを介した細胞接着(3T3-上皮)、メラノサイトとの細胞間接着および液性因子が角膜上皮幹細胞・前駆細胞の維持・増殖に寄与している可能性を示した。
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Research Products
(9 results)