2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規コラーゲン架橋剤の角膜への架橋効果および円錐角膜治療への応用
Project/Area Number |
21791666
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 享 Tohoku University, 病院, 助教 (50451589)
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Keywords | コラーゲン / 架橋剤 / 円錐角膜 / 角膜実質 |
Research Abstract |
我々の開発した新規コラーゲン架橋剤のプロトタイプについては、コラーゲン溶液との撹拌にょってコラーゲン溶液がゲル化され架橋されていることをすでに確認していたが、本年度は、さらにこまかな条件を検討し、繊維性のコラーゲンのみを選択的に架橋し、他のタンパク質などはゲル化しないという、繊維性コラーゲシに対する特異性が高いことを明らかにした。さらに数日間は安定して架橋されていることも分かった。また走査型電子顕微鏡(SEM)にて、コラーゲン線維と架橋剤を混合したあとのゲルを解析すると、コラーゲン線維と架橋剤のネットワーク構造が明らかにすることができた。これらのことは、この架橋剤が繊維性コラーゲンのみを選択的に架橋できることを意味しており、点眼剤としての臨床応用を考えたときに、毒性が少なく角膜の強度を増加させることが可能であり、円錐角膜の治療に対して非常に臨床応用できる可能性が高いことを意味し、大いに期待される。 また、実際の角膜に対する効果として、本年度は家兎角膜の引っ張りおよび圧縮による強度測定を行って、家兎の週齢による角膜強度のデータを収集する予定としていたが、大量の家兎を使用することが困難であったため、市販の家兎眼球より作製した角膜ボタンを使用して、新規架橋剤に浸漬することによって架橋を行い、突き刺し試験による強度測定を行った。その結果、架橋することによって正常角膜に比して、有意に強度が増加することが分かった。実際の角膜組織に対しても効果があることが分かり、成体角膜実質組織などのプロテオグリカンや角膜実質細胞など、コラーゲン以外の成分が混在する組織においても、本架橋剤の効果が認められた。実際の成体角膜にも効果があることがわかり、今後もさらなる検討を続けていく。
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