2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791671
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高瀬 博 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (20451940)
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Keywords | 熱ショック蛋白 / 前房水 / サイトカイン |
Research Abstract |
眼は免疫学的に特権を有する臓器、すなわち"Immune privilege site"と呼ばれ、眼内炎症による不可逆的な視覚障害から視力を守る、独自の免疫防御機構を持つ事が知られている。これまでに、眼内液が炎症性眼内浸潤細胞に対する抑制作用、すなわち浸潤細胞のサイトカイン産生抑制作用と細胞死(アポトーシス)誘導能を持つ事、そしてその活性を担う分子の候補として、眼内液中にはTGF-βやVIP、α-MSH、可溶性CD95(Fas)リガンドが存在する事が明らかとなっている。しかし、正常前房水の持つ免疫抑制活性は、これらの分子のみでは十分に説明出来ず、未だ同定されていない免疫活性分子の存在が推定されている。熱ショック蛋白は細胞内での分子シャペロンとしての作用に加え、細胞外に分泌されシグナル分子として細胞表面に結合し、免疫調節作用を持つ事が示唆されている。また、いくつかの熱ショック蛋白は、眼内組織に構成的に発現している。本研究は、眼内液中に分泌型の熱ショック蛋白が存在し、その中には炎症性眼内浸潤細胞に対して抗原性を示すもの、逆に免疫抑制活性を有するものがあると仮説を立て、それを検証するために行った。まず、白内障およびぶどう膜炎患者から採取した前房水における各種熱ショック蛋白の存在の有無について検索を行った。その結果、前房水中におけるHSP27の発現が検出された。一方、HSP10、HSP60、HSP70は検出限界以下であった。次に、眼内液中に検出されたHSP27のリコンビナント蛋白を、ぶどう膜炎患者眼局所より樹立したT細胞クローンと共生培養し、HSP27がT細胞の増殖能やサイトカイン産生能に与える影響を解析した。その結果、HSP27はぶどう膜炎患者眼局所浸潤細胞由来のT細胞クローンの持つインターフェロンγ産生能を亢進させる事が明らかとなった。
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