2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性、加齢黄斑変性への小胞体ストレスの関与とそれを標的とした治療法の研究
Project/Area Number |
21791677
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加地 秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30345904)
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Keywords | アミロイドβ / 小胞体ストレス / 4-フェニル酪酸 / caspase 12 / caspase 4 / アポトーシス / 網膜色素上皮 / 加齢黄斑変性 |
Research Abstract |
ドルーゼンの構成成分であるアミロイドβの負荷による網膜色素上皮(RPE)からの血管内皮増殖因子産生の増加には小胞体ストレスが関与することを我々は21年度の研究で見出した。22年度においてはRPEへのアミロイドβ負荷に伴う小胞体ストレスの発生について、さらに検討するとともに、その際のアポトーシスの有無と、小胞体ストレスを抑制する4-フェニル酪酸(PBA)によりこれらの抑制が可能であるかを検討した。最初にヒトRPE由来の培養細胞であるARPE-19を培養し、アミロイドβを加えた培養液に交換して24時間培養したものと、4-フェニル酪酸(PBA)を添加した培養液で14時間培養したのちに、アミロイドβを負荷したものの細胞を回収した。ウェスタンブロット法にて小胞体ストレスに伴うアポトーシスに関与するcaspase12、コントロールとしてのGAPDHを検出した。また一部の細胞については固定した後にGRP78/Bipに対する免疫染色、アポトーシスを検出するTUNEL染色を行った。結果であるが、アミロイドβ負荷により、コントロールと比較して活性型caspasel2、GRP78/Bipは増加しており、PBAの添加によりこれらは低下していた。またアポトーシスをおこした細胞の数についても同様の傾向がみられた。これらのことより、RPEへのアミロイドβ負荷は小胞体ストレスを発生させ、アポトーシスを誘発する可能性が考えられ、また、小胞体ストレスを抑制する薬剤によりこれらの抑制が可能であったから、小胞体ストレスを標的とした薬剤は滲出型、萎縮型の加齢黄斑変性の予防に有用である可能性があると考えられた。
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