2010 Fiscal Year Annual Research Report
実験的自己免疫性ぶどう膜炎におけるmiRNAの発現解析
Project/Area Number |
21791681
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋田 徳康 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30456959)
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Keywords | micro RNA / 実験的自己免疫性ぶどう膜炎 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
我々は、EAUマウスの眼炎症部位における経時的な発現プロファイルを解析し、病態発現に関与する可能性のあるmiRNAの同定を目的として実験を行った。マウスにEAUを誘導し、免疫後5,10,15,20,25,30日後に眼球を採取し、miRNAを回収した。サンプルに含まれるmiRNAをAppliedBiosystems社のmiRNA expression Arrayを用いて包括的に解析同定した。その結果、2倍以上の有意な発現上昇および発現低下を示すmiRNAがすべての観察点で認められた。具体的にはペプチド免疫20日後(85遺伝子の上昇)をピークとしてmiRNAの有意な発現上昇を、ペプチド免疫5日後(56遺伝子の低下)をピークとしてmiRNAの有意な発現低下を認めた。個々のmiRNAに関しては、ペプチド免疫直後の5日目にNFKBIA(I kappa-B alpha)の発現制御にかかわるmiR-381の発現上昇と、EAU炎症のピーク時である15日、20日後にNFKBIAの発現制御にかかわるmiR-466b-3pの発現上昇を認めた。また、既報でIL-17の発現制御に関わることが報告されているmiR-142-5pの10,15,20,25日目での有意な発現上昇を確認した。一方、EAU炎症のピーク時である15日、20日後にNF-kappaBを制御するmiR-322^*,miR-465b-5pの発現低下と、消炎に向かう25日目にNF-kappa Bを制御するmiR-511,miR-465a-5pの発現上昇、30日目にIL-10を制御するmiR-154の発現低下を認めた。NF-kappa Bは様々な炎症性サイトカインの発現を転写レベルで制御し、I kappa-BはNF-kappa Bの活性を制御しているが、炎症のピーク時にNF-kappa-Bを制御するmiRNAの発現低下によりNF-kappa-Bが活性化する方向に、またI kappa-Bを制御するmiRNAの発現上昇が起こりI kappa-Bの不活性化すなわちNF-kappa-Bが活性化する方向に動くことが明らかとなった。加えて、消炎に向かう時期にNF-kappa-Bを制御するmiRNAの発現上昇によりNF-kappa-Bを活性化する方向に、IL-10を制御するmiRNAの発現低下によりIL-10が活性化する方向に遺伝子が動き全体として消炎の方向に向かう可能性が示唆された。様々な炎症関連遺伝子を制御する転写因子NF-kappa-BとI kappa-Bの発現がmiRNAレベルで制御されていることが明らかとなり、これらに関わるmiR-466b-3p,miR-381,miR-322^*,miR-465b-5pなどが炎症制御の標的となる可能性が考えられた。
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