2009 Fiscal Year Annual Research Report
強膜線維芽細胞を介したコラーゲンゲル収縮・分解へのプロスタグランジン誘導体の影響
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21791684
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 克佳 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 講師 (90325217)
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Keywords | 強膜線維芽細胞 / PG F2α / Collagen gel |
Research Abstract |
目的・方法:ぶどう膜強膜流出路におけるプロスタグランジンF2α誘導体の影響を調べるために,強膜線維芽細胞をType Iコラーゲンゲル中で3次元培養し,種々のプロスタグランジンF2α誘導体を添加して時間経過とともにコラーゲンゲルの直径を測定してコラーゲンゲル収縮能を評価し,コラーゲンの分解に関与するMMPの発現やコラーゲンの分解量を測定してコラーゲン分解作用を評価することによって,プロスタグランジンF2α誘導体の強膜への影響を検討した。 結果:1)プロスタグランジンF2α誘導体であるラタノプロスト,トラボプロスト,タフルプロスト,ビマトプロストを培養液に添加すると,濃度依存的に時間依存的にコラーゲンゲルが収縮した。各試薬間でのコラーゲンゲル収縮能には有意差を認めなかった。2)プロスタグランジンFP受容体の拮抗薬を同時に添加して培養すると,コラーゲンゲルの収縮が抑制された。3)ラタノプロストを添加して5日間培養した培養液上清中のMMP-1,2,3,9の発現をMMP1,3はWestern blotting法,MMP-2,9はGelatin-zymographyを用いて測定したところ,MMP-1の発現のみを認め,ラタノプロストの濃度依存的にMMP-1の発現は促進された。4)ラタノプロストを添加して5日間培養した培養液上清中にはコラーゲン分解の指標となるヒドロキシプロリンの増加を認めなかった。 結論・考察:プロスタグランジンF2α誘導体すべてにプロスタグランジンFP受容体を介したコラーゲン収縮作用があり,強膜の構造に何らかの影響を及ぼして眼圧下降作用を発揮している可能性が示唆された。また,ラタノプロストによってMMP-1の発現が促進されたことは,コラーゲンゲル中の強膜線維芽細胞に対して,コラーゲンゲル収縮とは別の作用を及ぼし,強膜の構造および機能を調節する可能性が示唆された。
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