2009 Fiscal Year Annual Research Report
角膜における神経ガイダンス分子の発現と生理的機能の解明
Project/Area Number |
21791686
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森重 直行 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 助教 (40346565)
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Keywords | 神経ガイダンス分子 / Semaphorin 3A / 角膜 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
これまで我々は,角膜における神経ガイダンス分子の発現について着目し,特にSemaphorin 3A(Sema3A)の角膜における発現について報告した。本研究では,角膜における神経ガイダンス分子の生理的機能の解明を目的に,角膜上皮の創傷治癒過程におけるSema3Aの発現の変化を検討した。 創傷作成前の正常ラット角膜上皮では,Sema3Aは角膜上皮基底細胞と翼細胞に強く発現していた。また,角膜中央部に比べて周辺部角膜での発現が顕著であった。角膜上皮を鈍的に剥離し,Sema3Aと角膜上皮に発現する細胞間接着装置タンパク質であるZonular Occuludens-1(ZO-1)とコネキシン43(Cx43)の発現を検討した。角膜上皮剥離後24時間で,角膜中央部を被覆した上皮細胞層基底細胞の基底膜側および基底細胞間にSema3Aが顕著に発現していた。その発現は剥離後48時間より徐々に減少し,剥離後120時間では,Sema3Aの発現パターンは剥離前と同様になっていた。 角膜上皮創傷治癒過程において,神経ガイダンス分子Sema3Aの発現が変化することが,本研究で明らかとなった。角膜は,神経性因子に高度に制御されている組織であり,神経ガイダンス分子が角膜の恒常性維持に関与しているメカニズムにアプローチする第一歩の研究であると考えられる。
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