2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791687
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木村 和博 Yamaguchi University, 医学部, 講師 (60335255)
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Keywords | 角膜 / 潰瘍 / 病原微生物 / コラーゲン |
Research Abstract |
感染性角膜潰瘍の病態は角膜実質コラーゲン融解である.抗菌薬のみでは,実際に感染初期なら治療が容易であるが,ある程度進行した角膜潰瘍ではすぐには治癒にいたらず,さらに進行することがしばしば臨床の場でみかける.このことは,病原微生物の死滅のみでは,角膜潰瘍の形成および進行は十分に阻害できないことを意味する.そこで,抗菌薬とともに併用可能な角膜潰瘍治療の特異的な薬剤の検索,開発を本研究の目的とする.感染性角膜潰瘍の誘因としては種々の病原微生物が知られている.そこでこれらの外来因子の1つであるウィルスに着目し,ウィルス由来RNAのPoly(I : C)にて角膜実質細胞を刺激することにより,IL-6, IL-8などの種々のサイトカイン,ケモカインの発現,分泌およびICAM-1, VCAM-1などの接着因子の発現が認められた.さらに,Poly(I : C)にて発現の亢進した炎症性サイトカインIL-1β依存性に,蛋白質分解酵素の一つであるMMPsの発現がの亢進した.さらに,炎症性サイトカインIL-1βを用いた三次元角膜実質細胞培養系においてコラーゲン分解促進が認められ,さらにこの実験系にて性ホルモンのコラーゲン分解抑制作用が明らかになった.この作用機序は,いくつかのMMPの発現抑制によることが明らかになってきている.本研究結果は,角膜潰瘍の発症機序の解明に大きく寄与し,薬物開発において新たな標的分子の開発につながると思われる.
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