2009 Fiscal Year Annual Research Report
培養角膜内皮細胞を用いた拒絶反応のない理想的な角膜移植術の開発
Project/Area Number |
21791698
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
林 孝彦 Yokohama City University, 医学研究科, 特別研究員 (20527931)
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Keywords | 眼免疫学 |
Research Abstract |
角膜移植術後の拒絶反応発生率は10-30%程度とされ、拒絶反応を抑制することは術後管理上最も重要なことである。培養角膜内皮細胞移植は、動物実験での成功が報告されており、将来有望な水疱性角膜症に対する治療法である。本法が臨床応用されれば、水疱性角膜症に対してドナー角膜を直接使用する必要がなくなるため、数少ないドナー角膜の有効利用が可能となる。さらに過去の報告では、前房内に置かれた角膜内皮は免疫学的にも拒絶反応を起こしにくい場所であるとされ、培養角膜内皮細胞移植は拒絶反応を防ぐという意味でも有利である可能性が考えられる。我々の過去の研究で作成したアロ培養角膜内皮細胞移植のマウスモデルを用いて、アロ角膜内皮細胞移植は拒絶反応を起こしにくい機序を解明した。内皮細胞移植群は、観察期間中拒絶反応を発生せず、全層角膜移植群より遅延型過敏反応、混合リンパ球反応、移植組織へのT細胞浸潤が有意に低下していた。内皮細胞移植群では前房関連免疫偏位の獲得は無く、内皮細胞移植後脾細胞のマウスへの養子移入後および内皮細胞移植眼へのアロ全層角膜移植は、拒絶反応発生率を減少させなかった。また、内皮細胞移植群はアロ抗原脾細胞での免疫後、遅延型過敏反応は陽性を示したが、移植したアロ培養角膜内皮細胞は拒絶されなかった。以上より培養角膜内皮細胞移植術で拒絶反応が発生しない機序として、免疫抑制や不応答ではなく、抗原の存在が認識されない免疫無視が考えられた。成果を平成21年7月にInvestigative Ophthalmology & Visual Science誌上に発表した。
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Research Products
(1 results)