2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるTGFβシグナル阻害を戦略とした角膜内皮障害の予防法の探索
Project/Area Number |
21791705
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
住岡 孝吉 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (40433362)
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Keywords | 角膜内皮 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
目的:角膜内皮は角膜の透明性維持に必要不可欠な細胞である。以前に我々は、角膜内皮創傷治癒でのTGFβシグナリングの役割について検討し、p38とMAPKが内皮伸展に重要であることを報告したが、内皮細胞の遊走はさらに複雑な機序で調節されていると考えられる。今回、TRPV-1アゴニスト(カプサイシン)とアンタゴニスト(SB366791、以下SB)を用いて家兎角膜内皮の遊走での外因性および内因性のTRPV-1受容体シグナルの役割を検討した。 方法:白色家兎を屠殺し、眼球を摘出した。角膜ブロック(4×4mm)(n=36)を作製した。角膜ブロック中央から50%の面積の内皮細胞をカバーガラスで擦過除去した。カプサイシン(10μM)、SB(500nM)、カプサイシン(10μM)+SB(500nM)を各々添加した培養液で24時間器官培養した。角膜ブロックを0.25%トリパンブルー溶液及び0.2%アリザリンレッド溶液で染色し、光学顕微鏡で内皮細胞シートの伸展距離を測定した。コントロールの伸展距離の平均値を100%とし、各群を比較検討した。 結果:カプサイシン添加群では内皮シートの伸展距離に有意差はみられなかった。SB添加群はコントロール群やカプサイシン添加群と比較して有意に内皮シートの伸展が抑制されていた(p<0.05)。 結論:内因性TRPV-1シグナルが家兎角膜内皮細胞シートの伸展の伸展に必要であると考えられた。内因性にTRPV-1受容体を活性化させているリガンドを検索することで角膜内皮障害の新しい治療法の開発に繋がる可能性が示唆された。
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