2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるTGFβシグナル阻害を戦略とした角膜内皮障害の予防法の探索
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21791705
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40433362)
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Keywords | 角膜内皮 / 角膜上皮 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
テネイシンC(TNC)はオステオポンチンと類似の挙動を示し、組織の再構築過程において重要な役割を担う分子である。TNCノックアウトマウス(KO)および野生種マウス(WT)の角膜中央部を、全層切開し、角膜上皮、実質、内皮の治癒具合を直後、5日後、10日後に観察した。また屠殺後角膜切片を作成し角膜内皮および上皮への影響をFN,F4/80,MPOなどで免疫組織化学的検討を行い、real time RT-PCRで角膜中央部位のTGFβ1,collagen1a1,F4/80などを比較検討した。また、WTとKOの眼線維芽細胞からRNAを抽出後、real-timeRT-PCRを施行し、αSMA,TGFβ2,collagen Iα1を測定した。またwestern blottingでαSMAを測定しました。KOの5日では角膜切開後、両サイドの角膜上皮は実質内に進展したため内皮細胞も正常に機能せず、実質の膨化が著明であった。TNCは創傷角膜実質ではマクロファージの侵入と血管新生に必要であった。TNCは創傷治癒過程において眼線維芽細胞で線維化の遺伝子発現を調節すると考えられた。TNCは角膜実質の治癒に必要と思われた。またマウス角膜電熱焼灼モデルを作成し経時的に治癒具合を検討した。KOでは角膜電熱焼灼後の角膜新生血管の伸展はWTと比較し、3日後7日後で有意に抑制されていた。またreal time RT-PCRでは同様のモデルにおいてVEGF、TGFβ1、F4/80の抑制が3日後で確認された。KOの眼線維芽細胞では、TGFβ1添加の有無にかかわらずreal time RT-PCRで、WTと比較しVEGFの抑制が確認され、またTGFβ1添加によりKOの眼線維芽細胞でのTGFβ1発現の抑制が確認された。内因性のTNCは血管形成遺伝子発現に関係しており、血管新生を介して創傷治癒に関係していると考えられる。透明角膜維持において角膜新生血管の抑制は重要と思われ、さらなるTNCの役割の解明が期待される。
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