2010 Fiscal Year Annual Research Report
後期緑内障における自動車運転と視野障害の関係についての多施設共同研究
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21791708
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
青木 由紀 自治医科大学, 医学部, 助教 (00406076)
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Keywords | 緑内障 / 自動車事故 / 視野障害 |
Research Abstract |
後期緑内障患者の視野障害と自動車事故の関係について調査するため、自治医科大学附属病院にて緑内障患者の臨床データを集積した。自治医科大学附属病院を受診した後期(ハンフリー視野検査30-2プログラム(HFA30-2)におけるMean deviation(MD)値が両眼ともに-12dB以下)緑内患者29名と、年齢をマッチングした、初期(両眼ともMD値が-6dB以上)・中期(後期群および初期群の選択基準を満たさない)緑内障患者を各29名選択し、過去5年間の事故率を調査した。各病期群29名中、自動車事故の既往があるものは初期群で2名(6.9%)、中期群で0名、後期群で10名(34.5%)と後期群で多かった。次に、自動車事故に関係する視野障害の検出に有効な視野検査方法を調査するため、後期群35例を対象に、既存のHFA30-2結果から得られた両眼視野(Beeline/HfaFiles ver.5にて作成)を用い、交通事故歴のある群とない群間での視野障害度の比較を行った。結果では事故群、無事故群間で中心下方10度内において事故群で有意に感度が悪かった。以上より後期緑内障患者は初期、中期患者に比較して自動車事故を起こしやすく、特に両眼視野が進行し、中心10度下方視野の感度が低下すると自動車事故をより起こしやすいことがわかった。次に注意喚起の方法として有効な方法を調査するため、正常ボランティア8名に対し中心に穴のあいたピンホール(0.5mmと2mm)眼鏡を使用して模擬的視野狭窄状態を作製し、既存の自動車運転シミュレータ(三菱ドライビングシミュレータDS6000)を試行、その事故率を調査した。結果は視野がより狭いほうが事故率が高く、走行場面によって事故率に差があるものとないものに分かれた。以上より既存の自動車運転シミュレータは自動車運転の危険度を予測するために有用であることがわかったが、視野障害患者の注意喚起のためには走行場面の工夫を行う必要があると考えられた。得られた結果をもとに緑内障患者専用の自動車運転シミュレータの開発を行い、後期緑内障患者に施行することで自動車運転についてより詳細な注意喚起および教育を行う。
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Research Products
(2 results)