2009 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障性視神経症の無髄軸索内ミトコンドリア行動異常の制御機構
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21791718
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
宗正 泰成 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 助教 (30440340)
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Keywords | 緑内障 / ミトコンドリア / 軸索変性 / 網膜神経節細胞死 / Thioredoxin2 / AIF / 酸化ストレス / TNF-α |
Research Abstract |
アルゴンレーザー誘導緑内障モデルラットを作成し、軸索変性及び網膜神経節細胞死におけるミトコンドリアの分布異常及び機能障害に焦点を置いた。ミトコンドリアの標識は中脳上丘にMitoTracker Redを投与し、逆行性に視神経及び網膜神経節細胞内の正常膜電位を持つミトコンドリアを標識した。機能評価はIn Vitro及びIn Vivoにて行った。 In VitroではRGC-5 CellsにTNF-αかつButhionine sulfoximine(BSO)を投与し、酸化ストレスを誘導した。ミトコンドリア膜透過制御蛋白としてThioredoxine2(Trx2)さらにはミトコンドリア内腔に存在するapoptosis-inducing factor(AIF)に着目し、酸化ストレス下における細胞内変化を解析した。さらにTrx2によるAIF核内移行の制御機構はTrx2をミトコンドリア外膜に強制発現させ検討した。In Vivoでは視神経及び網膜神経節細胞を採取後、ミトコンドリア、核、及び細胞質分画に分離し、Trx2とAIFの変化を解析した。 ミトコンドリアの分布に関して、緑内障眼では対照群と比較し眼圧上昇後のLamina近傍でのMitoTracker Redに標識された正常膜電位を保有するミトコンドリアの減少を認めた。ミトコンドリア機能解析に関しては,RGC-5 cellsに酸化ストレス誘導後ミトコンドリア分画におけるAIFレベルの減少と同時に核分画での上昇を認めた。Trx2の強制発現はAIF核内移行を抑制することがImmunoblot及び共焦点顕微鏡下で確認された。さらにTrx2強制発現は酸化ストレスに対し神経保護効果を有し、機序として膜透過性制御によるAIF核内移行抑制が示唆された。緑内障眼における視神経内ミトコンドリア分画において、Trx2とともにAIFレベルの減少が認められた。さらに網膜神経節細胞内核分画におけるAIFレベルの上昇を認めた。緑内障におけるAIFの核内移行は免疫染色においても認められた。 今回得られたデータより、緑内障眼におけるTrx2の減少がAIFの核内移行を促進し、軸索変性かつ網膜神経節細胞死へ関わっていると考えられた。さらに正常膜電位保有ミトコンドリアのLamina近傍における減少もAIFの核内移行に関わっていると推測された。
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