2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミュラー筋(上眼瞼内平滑筋)と眼窩内平滑筋群との連続性の証明とその相互作用の解明
Project/Area Number |
21791720
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
柿崎 裕彦 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (20329783)
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Keywords | ミュラー筋 / 内直筋 / 外直筋 / 滑車構造 / 線維連絡 |
Research Abstract |
平成21年度の研究成果によって、ミュラー筋が4直筋や下斜筋の「滑車構造」と同一の層にあり、直接的な線維連絡をもつことが明らかになり、その成果はOphthalmology誌に受理されました。本研究の成果によって、上眼瞼は眼球とは独立して存在する構造ではなく、横方向への平滑筋線維の連絡によって、その緊張が自立的にも調節されている可能性が示唆されました。また、上眼瞼下垂に付随して生じると考えられている自律神経症状は、本研究の結果に基づくと、ミュラー筋単独から生じる反応ではなく、眼窩内に存在する平滑筋線維群全体の反応を考慮する必要があると推測されました。今後の眼瞼自律神経反応の研究では、単一眼瞼からの反応だけではなく、複数眼瞼、ないしは、外眼筋の反応まで含めて結果を考慮しなければならない可能性が示唆されました。逆に、外眼筋の自律神経反応の研究を行う場合、眼瞼の反応も考慮する必要があることも推測されました。平成22年度は標本数をさらに6例増やして、平成21年度の成果を確認し、同様の結果が得られました。しかし、内直筋、外直筋への線維性連絡の様相には個人差があり、特に、その厚みにヴァリエーションがみられました。この結果から、本連絡線維も他の眼窩内組織と同様に退行性の変化を生じ、上眼瞼は内直筋や外直筋との相互影響力が加齢に伴って小さくなってゆくことが考えられました。本年度は、ドイツ、中国、韓国、オーストラリアで、当該研究成果の発表を積極的に行い、広く世界中の研究者に本研究の成果を周知できたと考えます。
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