2009 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルによる上皮幹細胞の恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
21791721
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 隆宏 Doshisha University, 生命医科学部, 准教授 (30411078)
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Keywords | 上皮幹細胞 / 角膜 / Notchシグナル / Hes1 / 眼表面 |
Research Abstract |
まずNotchシグナルの主要関連因子であるNotch1遺伝子欠損マウスを用いて、Notchシグナルと角膜上皮との関連性を検討した。その結果、既報のとおり角膜創傷モデルにて、上皮が血管新生を伴って過増殖し、角化上皮へと分化転換した。よってNotchシグナルが角膜上皮の恒常性維持機構において機能的な役割を果たしていることを確認した。次にNotchシグナルの下流にある主要関連因子であるHes1遺伝子の欠損マウスを作成し、角膜、特に角膜上皮における機能解析を行った。胎生期から経時的に眼球をサンプリングして角膜の形態発生を肉眼的・組織学的に観察した。その結果、KOマウスの角膜は著しく発生が障害されていることがわかった。走査型・透過型電子顕微鏡を用いて形態学的観察では、上皮細胞の発生・分化が障害されていた。採取したマウス角膜を上皮細胞に特徴的な細胞骨格マーカー、細胞間接着分子、基底膜構成分子、細胞増殖関連分子、アポトーシス関連分子、幹細胞マーカーの発現を免疫組織化学染色法を用いて検討した結果、KOマウスでは細胞分化が著しく障害されていた。さらに我々がすでに確立している羊膜基質を用いた上皮幹細胞の3次元培養モデルを用いて、Hes1遺伝子欠損マウス角膜上皮のin vitroにおける機能解析を行った結果、WTでは正常に増殖・分化して3次元構築された上皮細胞層を形成したのに対して、KOでは、正常に増殖・分化せず3次元培養が困難でたった。以上のことより、Notch1およびHes1は角膜上皮の発生や恒常性維持機構に重要な働きをしていることが確認された。
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