2010 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルによる上皮幹細胞の恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
21791721
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 隆宏 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (30411078)
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Keywords | 上皮幹細胞 / 角膜 / Notchシグナル / Hes1 / 眼表面 |
Research Abstract |
角膜創傷モデルを用いてNotch1が角膜上皮の恒常性維持機構において機能的に重要な役割を果たしていることを確認した。次に、Notchシグナルの下流にある主要関連因子であるHes1遺伝子の欠損マウスならびにHes1-GFPマウスを作成し、角膜、特に角膜上皮における機能解析を行った。Hes1-GFPマウスを解析した結果、Hes1遺伝子は角膜上皮幹細胞が存在すると考えられている角膜輪部上皮基底細胞に強く発現していることがわかった。マウス角膜創傷モデルによるNotchシグナル関連因子のin vivoにおける機能解析を行った。その結果、Hes1は角膜上皮の創傷治癒過程において、強くその発現が認められ、Ki67などの細胞増殖マーカーとも相関することがわかった。次に、レトロウイルスベクター(CLIG)を用いてHes1を培養角膜上皮細胞に遺伝子導入した。その結果、Hes1は細胞増殖サイクルを抑制する作用が認められた。その作用過程は、アポトーシスは関与していなく、サイクリンD1を指標とした細胞増殖サイクルのG1期を延長することによることがわかった。また、角膜上皮幹細胞、前駆細胞マーカーであるp63やケラチン19を指標に用いて解析を行った結果、Hes1遺伝子は、角膜上皮幹細胞を未分化な状態に維持する作用があることがわかった。以上のことより、Hes1は細胞増殖を抑制して角膜上皮幹細胞を未分化状態に維持する機能があり、角膜上皮の発生や恒常性維持機構に極めて重要な働きをしていることが確認された。
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