2009 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症による視神経炎の発症メカニズム解明と新規治療法の開発
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21791726
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
郭 暁麗 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (50443114)
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Keywords | 多発性硬化症 / 視神経炎 / グリア / EAE |
Research Abstract |
本年度ではMSにおける視神経炎の発症メカニズムの解明及び既存または新規薬剤を利用した視神経炎への治療研究を行った。治療効果については形態的な観察にとどまらず、多局所網膜電位の解析などを交え、総合的な視機能評価に基づいて判定を行った。既存薬剤にはエーザイが開発した胃潰瘍薬geranylgeranylacetone(GGA)を用い、視神経炎への治療効果があることを明らかにした。また細胞死誘導因子であるとともに、自然免疫に関与することが最近解明されたASK1については遺伝子欠損マウス(ASK1 KO)を活用し、ASK1 KO EAEマウスにおける視神経炎の重症度の緩和を組織病理学及び電気生理学的手法によって解明した。またアストロサイトおよびミクログリアではASK1と結合して自然免疫に関与することが知られるTLR4およびTLR9の発現量もEAE惹起によって増加していることがわかった。そして初代培養細胞を用いた研究から、ASK1 KOマウス由来のアストロサイトおよびミクログリアでは、MCP-1,RANTES,MIP-1αを含む複数のサイトカイン産生能が低下することが判明した。さらにMerck社との共同研究からASK1阻害剤による視神経炎への治療効果を明らかにした。我々の研究から視神経炎の治療におけるグリア活性の抑制の重要性を明らかにした。また、本年度ではオリゴデントロサイトの発生や成熟に必要な転写因子Olig1の欠損による視神経炎への影響も調べた。Ohg1欠損によりMOG、MBPやMAGなどミエリンタンパクの発現が低下し、EAEの発症が遅れ、視神経炎が軽減されたことを解明した。
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