2011 Fiscal Year Annual Research Report
先天性横隔膜ヘルニアにおけるインシュリン様成長因子を用いた新たな胎児治療戦略
Project/Area Number |
21791732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江角 元史郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30452759)
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Keywords | 先天性横隔膜ヘルニア / 肺低形成 / 胎児治療 |
Research Abstract |
本研究では、横隔膜ヘルニア(CDH)疾患モデルのラット胎仔を作成し、CDHモデルラット胎仔肺組織の組織培養を行い、培養環境中に添加されたIGF-1とIGF-2により肺成熟が誘導されうるかについて検討を行った。 妊娠9日目の母体ラットにニトロフェンを投与し、妊娠18日目に帝王切開にて胎仔摘出を行った。摘出した胎仔のうち、横隔膜ヘルニアを形成しているもののみを選別し、肺を摘出。肺の切片を、IGF-1群、IGF-2群、対照群の3群に分け、IGF-1群はIGF-1を添加した培養液、IGF-2群はIGF-2を添加した培養液、対照群はIGFを添加しない培養液を用いて24時間と48時間の組織培養を行った。培養後の組織に対し、2型肺胞上皮細胞のマーカーとしてTTF-1、1型肺胞上皮細胞のマーカーとしてT1α、気管および血管平滑筋のマーカーとしでαSMAのmRNAの発現量の解析を行い、また、これらTTF-1、T1α、αSMAに対する免疫染色を併せ七行った。mRNA定量の結果、48時間培養したIGF-2群において、TTF-1、T1αのmRNA量が対照群と比較して増加していた。また、48時間培養したIGF-2群の免疫染色像において、TTF-1染色陽性の肺胞上皮細胞が立方型から扁平型に変化しているのが認められた。IGF-1群と対照群の間には、このような差は認められなかった。 以上の結果により、ニトロフェン誘導性CDHモデルラット胎仔の低形成肺の培養組織に対し、IGF-2を投与することで肺胞の成熟が誘導される可能性があると考えられた。本研究により、CDHにおける肺低形成に対してIGF-2の胎生期投与が有望であることを示した。
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