2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒルシュスプルング病の神経堤幹細胞移植治療に必要とされるニッチ因子の研究
Project/Area Number |
21791736
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西川 竜平 Keio University, 医学部, 助教 (30534531)
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Keywords | 移植 / 再生医療 / ヒルシュスプルング病 / ニッチ因子 / 腸管神経系 / protein zero protein / c-Ret受容体 / glial cell line-derived neurotrophic Factor |
Research Abstract |
ヒルシュスプルング病(以下本症)とは、新生児期腹部膨満を主訴とする疾患で、その本態は消化管の神経節細胞の欠如である。腸管神経細胞は神経堤幹細胞(NCSCs:Neural crest stem cells)から分化することが知られている。NCSCsは自己増殖しsphereと呼ばれる細胞塊を形成する。我々は分離直後の神経堤幹細胞及びsphereを用いることで腸管疾患への移植治療の可能性を検討している。 [本研究で明らかにしたい点](1)移植するsphereがどれだけ神経堤幹細胞の供給元として有効であるかを評価する。(2)腸管神経を欠失した本症モデルマウス腸管への器官培養条件における神経堤幹細胞の移植を行い移植による神経節再生を確認する。 [結果(1)]P0-Creマウス腸由来GFP陽性細胞が神経堤幹細胞であることを証明するためsphereを10%血清含有ホルモン培地下で接着培養することで分化誘導を行い、抗Tuj1(神経)、GEAP(グリア)、SMA(平滑筋)による免疫組織学的染色により多分化能を有することを示した。P0-Creマウス腸由来sphereにおいて神経堤幹細胞マーカーであるNestin, p75, Sox10, Musashi-1タンパク質が発現していることを免疫組織学的染色により確認した。 [結果(2)]ニッチ由来神経栄養因子受容体であるRetを欠損することで腸管神経細胞が消失した Ret^<-/->胎仔より清潔下に腸管を摘出、器官培養を行った。P0-Creマウス腸由来GFP陽性細胞(神経堤由来細胞)をモデルマウス胎仔腸壁へと移植した。Ret腸管断端にsphereを接着させ5日間の培養後、抗PGP9.5(神経核)、抗GFP抗体による免疫組織学的染色及びHoechstによる核染色を用いて組織学的検討を行ったところ、無神経節腸管における移植神経堤幹細胞の生着、増殖、神経へ分化する様子が観察された。
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