2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪由来幹細胞を用いた血管内皮・周皮細胞分化誘導法の開発
Project/Area Number |
21791739
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東野 琢也 The University of Tokyo, 医学部付属病院, 助教 (70433901)
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 / 増殖因子 / 血管新生 |
Research Abstract |
1)in vitro脂肪組織傷害モデル(injuryカクテル)の作成と増殖能、間葉系への多分化能の測定 術後ドレーン廃液の解析結果に基づき、受傷早期に増加する増殖因子(EGF,PDGF,bFGF,TGF-beta)を含んだ溶液(injuryカクテル)を作成した。Injuryカクテルは、脂肪由来幹細胞(ASC)及び血管内皮細胞(EC)の増殖を促進した。またinjuryカクテルで刺激されたASCは脂肪分化傾向を増し、骨分化および軟骨分化傾向は抑制された。 2)injuryカクテルによるASCの血管内皮分化誘導とその評価 Injuryカクテルの投与によりASCの遊走能、血管網形成能は著明に亢進したが、ECでは変化を認めなかった。培養ASCのmRNA発現解析ではFlk-1、CD31が増加し、Flow cytometryや細胞免疫染色でも血管内皮マーカー発現の亢進を認めた。Injuryカクテルに曝されたASCが作成した血管網はvWF陽性、lectin陽性で、ECとの共培養では混在した状態で血管構造を呈した。 3)injuryカクテルの作用メカニズムの解明 Injuryカクテルから各増殖因子を除いた条件下で評価し、より影響の強い増殖因子の特定を試みた。増殖能はどの一因子を除いても亢進が維持され、遊走能にはEGF,PDGF,TGF-betaの影響が強いことが分かった。また血管網形成能にはbFGFの影響が強いが、他の因子による相乗効果も確認できた。 これまでの研究により、脂肪組織傷害後早期に高濃度に存在する4つの創傷治癒因子をASCに暴露して擬似的な傷害環境を再現したところ、ASCは増殖、遊走し、血管内皮細胞への分化傾向をもつことが示された。一方で脂肪分化傾向も亢進したことから、傷害環境下のASCは脂肪および血管細胞へ分化することで組織再構築に寄与することが示唆された。またこれらの現象は、複数の増殖因子の相乗的相補的作用によってもたらされていることを確認した。今後はこの傷害関連増殖因子が生体内のASCを活性化し、組織の血管新生をもたらし得るかどうかを検証するvivoの実験を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)