2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪由来幹細胞を用いた血管内皮・周皮細胞分化誘導法の開発
Project/Area Number |
21791739
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東野 琢也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70433901)
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Keywords | AIC / 増殖因子 / ASC / 血管内皮細胞増殖 / 虚血脂肪組織 / 糖尿病脂肪組織 / 血管新生治療 |
Research Abstract |
ヒト皮下脂肪組織において創傷早期にドレーン廃液から検出された4種類の増殖因子(bFGF, EGF, PDGF, TGF-β)を調整混合し、脂肪組織創傷治癒関連因子カクテル(AIC : Adipose injury cocktailと命名)を作成した。AICは主に脂肪由来幹細胞(Adipose derived Stem Cell)を活性化し、増殖、遊走を促進し、脂肪および血管内皮系統への分化傾向を高めるとともに他系統への分化傾向を抑制した。AICを構成する各因子は、ASCの増殖・遊走・分化にそれぞれ異なる程度の関与を示した。またAICは血管内皮細胞(Endothelial Cell)の増殖も促進した。単独因子、またはシンプルな組み合わせでは、ASCに明らかな血管内皮分化傾向を誘導することはできなかった。また過度なAIC濃度を用いても増強効果は得られなかった。動物実験では、急性虚血脂肪組織や糖尿病脂肪組織へのAIC局所投与により、ASCを主とする細胞増殖を生じ、血管新生および脂肪新生所見がもたらされ、酸素分圧が上昇した。 本研究の結果により、AICは急性脂肪組織や糖尿病脂肪組織に血管新生および脂肪新生を生じ、適切な脂肪再構築と酸素化改善がもたらすことが示された。糖尿病脂肪組織は慢性的に虚血状態であることを考慮すると、AICは虚血脂肪組織に対する血管新生治療ツールとして有用であることが示唆され、虚血性難治性潰瘍などに対する血管新生治療に適用できると考えられた。
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Research Products
(1 results)