2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケロイド・肥厚性瘢痕発生原因の力学的解明と臨床治療への応用
Project/Area Number |
21791751
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮本 純平 Keio University, 医学部, 助教 (90365312)
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Keywords | 創傷治癒学 / 生体力学 / 有限要素法 / ケロイド / 肥厚性瘢痕 |
Research Abstract |
手術や外傷後にできるケロイドや肥厚性瘢痕は、長年外科医や患者を悩ませている。小さな切開創や毛嚢炎から、時に巨大なケロイドが発生し、日常生活の妨げとなることがある。また疼痛やかゆみなどの臨床上を引き起こす。 一度発生したケロイドや肥厚性瘢痕は、治癒させるために長い年月を要するため、予防が重要になる。予防として、創傷治癒期に創へかかる緊張を解除することは、経験上、最も有効な方法の一つとして知られている。このため臨床的には、テーピングを用いるなどして創部の減張が行われているが、不十分である場合が少なくない。効率的に緊張を軽減するためには、瘢痕周囲に発生する応力の詳細について、解明することが必要不可欠であるが、その詳細は知られていない。 以上のことから、CTデータを用いて、手と下腿のシミュレーション・モデルを作製した。モデルに、手術や外傷によって形成される瘢痕を作製し、人体の運動に相当する負荷を加えて、瘢痕周囲に発生する応力を有限要素法を用いて解析した。 その結果、手においては、手術において指間に何らかの皮弁を置く方法が、皮弁を置かない方法に比べて、有意に応力を減弱できることがわかった。また、下腿モデルでは、体軸に沿った傷の方が、沿わない傷に比べて、大きな応力が発生しており、有意差を認めたため、避けるべき創の方向であるということがわかった。 本研究で得られた知見は、今後手術や臨床現場で活用することにより、今後さらなる手術結果の向上やケロイド・肥厚性瘢痕予防につながると期待できる。
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Research Products
(3 results)