2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791753
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 瑠加 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (50445392)
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Keywords | 毛包再生 / 非接着培養 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
毛包は、胎生期に表皮と真皮の相互作用により形成される真皮凝集塊が、後に毛乳頭細胞となり誘導される。成獣の環境下での毛包再生においても同様に上皮間葉の相互作用が重要であり、マウスを用いて毛乳頭細胞と表皮細胞を混合移植することで毛包誘導が可能であるとの報告は多い。一方我々はこれまでに、マウス胎仔の真皮細胞やSkin derived precursorsという多分化能を有する細胞が毛包誘導能を持つことを発見し、これらを胎仔表皮細胞と共に免疫不全マウスの皮膚欠損創に移植することで、皮膚付属器を有した皮膚の再生に成功している。しかしこのマウス胎仔真皮細胞は、一度でも接着培養すると毛包誘導能が消失し、また毛乳頭細胞も継代を繰り返すことにより毛包誘導効率が悪化するとの報告がある。そこで我々は、細胞に強制的に凝集塊を形成させ、培養下で接着しない状態を維持することが毛包誘導に関与するのではないかという仮説を立て実験を行ってきた。実験はまずマウス新生仔の皮膚由来線維芽細胞を用いて行った。マウス背部皮膚より採取した線維芽細胞を接着培養により数継代培養した後、非接着性の培養皿にて無血清培地を用いて細胞凝集塊を作成した。凝集塊の培養を3週間行った後、同系マウス胎仔の表皮細胞と共に免疫不全マウス背部皮膚欠損創へ混合移植を行ったところ、移植後4週で毛包の再生を認めた。さらに本年度は、GFPマウス由来の皮膚線維芽細胞を用いた同実験系にて、再生した毛包組織がGFP陽性細胞で構成されていることを確認し、毛包再生のメカニズムの検討実験では、非接着培養で得られた細胞凝集塊が、ある種の未分化性を獲得することなどが確認された。本研究は、本来毛包誘導能を持たない線維芽細胞が、培養条件の工夫のみによって毛包誘導能を獲得した点が重要である。将来的にヒトでも応用できるよう、更なる検討を加える予定である。
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