2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791758
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 有紀 St.Marianna University School of Medicine, 医学研究科, 研究技術員 (60387066)
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Keywords | 脂肪組織 / 脊髄損傷 / 細胞治療 |
Research Abstract |
脊髄損傷をはじめとした中枢神経疾患の再生治療における脂肪組織の有用性を明らかにすることを巨的として、落錘法(25mmの高さから10gの錘を落下)により作製した外傷性脊髄損傷モデルフットに対するadipose-derived stem/stromal cells(ASCs)の静脈投与による移植を試み、その治療効果を検討した。 経静脈的な移植は、これまで実施してきた損傷脊髄への直接注入による移植(2.5×10^5cells/5μL)に比較して10倍の細胞数の移植(2.5×10^6cells/500μL)が可能であった。[^3H]-thymidine標識ASCsを用いて静脈投与後の体内動態を解析したところ、ASCsは徐々に損傷脊髄に集積する傾向を示し、同じ中枢神経系である脳に比較して、その移行性は顕著に高いことが明らかになった。また、Basso-Beattie-Bresnahanスコアによる歩行機能評価において、ASCs移植群は移植後早期から顕著なスコアの増加を示し、対照群に比較して有意に後肢運動機能の改善を認めた。 本研究から、外傷性脊髄損傷ラットに対するASCsの静脈投与による移植は、後肢運動機能障害からの回復を促進させる効果があり、脊髄損傷の細胞治療に用いる移植細胞としてASCsは有用であることが明らかになった。また、損傷脊髄への直接注入による移植は、新たな損傷をきたす可能性が懸念されるが、今後、より負担の少ない静脈投与による移植方法も選択肢の一つになり得ることが示唆された。
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