2009 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いた脂肪組織再生と血管新生における分子機構の解明
Project/Area Number |
21791760
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
覚道 奈津子 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (00509490)
|
Keywords | 脂肪 / 幹細胞 / 血管新生 |
Research Abstract |
近年,脂肪組織中に存在する多能性幹細胞の存在が報告され、骨髄に代わる幹細胞として再生医療への応用が期待されている。再生医学を構成するコンポーネントとして、(1)細胞、(2)細胞が3次元的に効率よく増殖・分化するうえで必要な足場、(3)細胞が効率よく適切に目的とする組織に向かうための液性因子の3.点が重要と考えられている。また、幹細胞の再生医療応用においては、少量のドナー組織から分化能を有する幹細胞を大量調製することが求められる。関西医科大学形成外科では、倫理委員会の承認を得て、ヒト腹部脂肪組織から分離培養した脂肪組織由来幹細胞を用いて多系統への分化誘導実験を確認し、組織再生を行ってきた。その中でも、脂肪組織幹細胞に対する適切な足場の検討として、3次元培養担体を用いた複合組織の作成を行うとともに(Kakudo N, 2008.)、効率よく増殖・分化を行うための液性因子として、FGF-2やTGF-βをはじめとする種々の液性因子の検討を行った(Kakudo N, 2007.)。これにより増殖因子の添加培地を用いて少量のドナー(脂肪組織)から分化能を有する幹細胞を大量に調製することが可能であることが示唆されるようになった。脂肪組織由来幹細胞を用いた、脂肪組織の構築を目的とするため、我々はサイトカイン、特に血管新生因子に着目し、本年度は、脂肪組織由来幹細胞を無血清下にて経時的に培養、上清のサイトカインをELISA法にてTGF-βと、血管新生因子PDGF、VEGF、bFGF、HGF、IGFを測定し脂肪幹細胞自身も液性因子を産生するオートクリン能を持つことを明らかにした。また、PRPの脂肪組織由来幹細胞に対する効果-血管新生効果および増殖効果についても探索を行った。来年度はvivoでの脂肪組織再生、特にサイトカインを用いた組織再生について研究を進める予定である。
|