2011 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いた脂肪組織再生と血管新生における分子機構の解明
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21791760
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
覚道 奈津子 関西医科大学, 医学部, 助教 (00509490)
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Keywords | 幹細胞 / 血管新生 / 脂肪 |
Research Abstract |
近年,脂肪組織中に存在する多能性幹細胞の存在が報告され、骨髄に代わる幹細胞として再生医療への応用が期待されている。再生医学を構成するコンポーネントとして、(1)細胞、(2)細胞が3次元的に効率よく増殖・分化するうえで必要な足場、(3)細胞が効率よく適切に目的とする組織に向かうための液性因子の3点が重要と考えられている。また、幹細胞の再生医療応用においては、少量のドナー組織から分化能を有する幹細胞を大量調製することが求められる。関西医科大学形成外科では、倫理委員会の承認を得て、ヒト腹部脂肪組織から分離培養した脂肪組織由来幹細胞を用いて多系統への分化誘導実験を確認し、組織再生を行ってきた。その中でも、脂肪組織幹細胞に対する適切な足場の検討として、3次元培養担体を用いた複合組織の作成を行うとともに、効率よく増殖・分化を行うための液性因子として、FGF-2やTGF-βをはじめとする種々の液性因子の検討を行った。これにより増殖因子の添加培地を用いて少量のドナー(脂肪組織)から分化能を有する幹細胞を大量に調製することが可能であることが示唆されるようになった。本年度の研究結果として、1)分化誘導をおこなっていない脂肪由来幹細胞(C期)と、2)分化誘導初期の脂肪由来幹細胞(A1期)、3)分化誘導後期の脂肪由来幹細胞(A2) それぞれを同細胞数ヌードマウス皮下に移植し、4週間後に摘出し組織学的検索をおこなった。その結果、C期、A2期に比較しA1期の移植組織は脂肪滴を貯溜した脂肪組織および血管構造を示していることが明らかになった。また、脂肪幹細胞において脂肪分化に伴い、VEGF,FGF-2等の血管新生関連因子の発現が増加することが認められた。これらにより、脂肪由来幹細胞において、細胞の脂肪分化度が脂肪組織形成および血管新生に関連することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究目的に沿った研究が遂行され、学会発表をおこなうことができた。現在、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、通常酸素下および低酸素下における脂肪組織由来幹細胞のVEGF,FGF-2等の血管新生関連因子の発現および細胞外分泌、そのシグナル伝達経路につき探索をおこなう予定である。
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