2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラット熱中症モデルにおける活性酸素傷害の解明と治療法の確立
Project/Area Number |
21791766
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤田 基 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50380001)
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Keywords | 熱中症 / スーパーオキシドラジカル / 生体内持続ラジカル測定法 / 肝障害 / マロン酸アルデヒド / HMGB1 / ICAM-1 |
Research Abstract |
本研究では、我々が開発した生体内活性酸素種測定システムを用いて、ラット熱中症モデルにおけるスーパーオキシド(O2-・)の動態を測定し、組織障害の程度と産生されたO2-・量との関連を解明することにより、熱中症におけるO2-・傷害の病態解明と治療指標としてのO2-・の意義を検討することである。 本年度は、ラット熱中症モデルを作成・確立し、このモデルの生体内で混合静脈血中O2-・電流値の測定を行った。中枢温が38度を越えたあたりからO2-・電流値の上昇を認め、熱中症発症まで上昇し続けた。O2-・電流値の積分値(Q値)は肝臓および血漿中のマロン酸アルデヒド(MDA;脂質過酸化物質)、HMGB1(急性期炎症反の指標)、ICAM-1(血管内皮傷害の指標)、ALT/AST(肝障害の指標)と有意な相関を認めた。また、熱中症発症後に輸液投与、中等度低体温療法を含む体温管理を行うことにより、混合静脈血中O2-・値、肝臓および血漿中のMDA、HMGB1、ICAM-1、ALT/ASTの改善を認めた。 以上の結果より、熱中症の病態において混合静脈血中で発生した過剰なO2-・は、全身および肝織の酸化ストレス、血管内皮細胞傷害、急性期炎症反応に関連しており、中等度低体温療法はそれらの抑制に効果的であることが示された。 重症熱中症の臨床において、明確な治療指標は確立されていないが、本研究の結果、熱中症において混合静脈血中O2-・を測定することにより組織障害および全身炎症を予想することができ、熱中症の治療の指標となることが示唆された。また、熱中症における中等度低体温療法の有用性が示唆された。
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Research Products
(4 results)