2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性疾患におけるメディエータとステロイドの相互作用の解明と臨床応用
Project/Area Number |
21791767
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宮内 崇 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40380000)
|
Keywords | 副腎皮質機能低下 / MIF / CIRCI |
Research Abstract |
昨年度は敗血症症例を対象として血清macrophage migration inhibitory factor (MIF)と副腎皮質機能、予後の関連を調べた。その結果、血清MIFが高いほど分泌刺激によって副腎皮質から産生されるコルチゾルが少なくなり、MIFと副腎皮質機能との間に負の相関関係があることが分かった。これらの結果についてジャーナルに論文を投稿し、アクセプトされた。 続いて当院救命救急センターに入室した全身性炎症反応症候群(SIRS)の症例130例に対して副腎皮質機能を評価し、予後との関連性を調べた。重症病態に合併する副腎皮質機能低下をCIRCIという。CIRCIを合併した重症病態の患者はそうでないものよりも有意に予後が不良であった。これまで敗血症のような重症においてはCIRCIを合併すると予後不良になることが示されていたが、今回は敗血症だけでなく、SIRSに対しても副腎皮質機能が予後を反映していることが分かった。 ステロイドの投与がCIRCIの治療として有用かどうかを検討するために、対象群のうちステロイド使用例を抽出して検討した。今回の検討ではステロイドの投与は予後に影響を与えていなかったが、対象症例が少ないことも原因と考えられた。今後は症例数を蓄積して改めて検討する必要がある。 CIRCIが予後を明かさせる要因を調べるためにMIFとそのほかのサイトカイン、接着分子を経時的に測定する必要がある。そのための測定キットを購入し、今後測定、検討する予定である。
|