2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱傷後敗血症性肺障害モデルにおけるHMGB1の動態の解明
Project/Area Number |
21791778
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安倍 晋也 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20383896)
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Keywords | HMGB-1 / 敗血症 / サイトカイン / シグナル伝達 / 免疫学 / 侵襲学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、重症熱傷・多発外傷患者における敗血症・多臓器不全や急性呼吸促拍症候群などの病態の解明である。我々の開発した熱傷とエンドトキシンの2段階刺激による敗血症性急性肺障害モデル(LPS投与後の急性肺障害)において、HMGB-1の過剰発現がLPSに対する過剰反応性を増強するなどし、病態の悪化に関与するという仮説に基づき、HMGB-1過剰発現後の変化につき検討することである。平成21年度に確立した熱傷後敗血症モデルとなるマウスの作成の手技及び血液(ヘパリン入りシリンジにて心臓脱血)・肺・肝臓・脾臓・空腸・回腸・大腸を摘出し保存検体として処理、specific sandwich ELISAによってサイトカイン(IL-6)の測定に加えて、平成22年度は各種検体におけるHMGB-1の定量の手技を用いて各種検討を行った。腸管内サイトカインの局在を調べるために、空腸、回腸、大腸の3箇所で組織中のIL-6量を定量したところ、熱傷マウスへのLPS投与によって組織中IL-6量の増加率が大きかったのは回腸、大腸の順であり(unpublished data)、熱傷とLPS投与によるサイトカイン産生の場は主に回腸であると考えられた。大腸におけるサイトカイン値の変化は、LPS投与による影響が強く観察され、熱傷によるサイトカイン産生能の特異的変化は認められなかった。組織学的検索では熱傷後マウス空腸、回腸、大腸では絨毛にアポトーシスを認めたがshamでははっきりしなかった。各種検体におけるHMGB-1の定量では、熱傷とエンドトキシンの2段階刺激による敗血症性急性肺障害モデル(LPS投与後の急性肺障害)において、HMGB-1の過剰発現がLPSに対する過剰反応性を増強する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)