2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物による宿主細胞への侵入と細胞内輸送の制御におけるリポタンパク質の役割
Project/Area Number |
21791780
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 晃 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 助教 (90281815)
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Keywords | FSL-1 / TLR2 / クラスリン依存的 / CD14 / CD36 |
Research Abstract |
我々は、細菌ならびにそのリポタンパク質による宿主細胞内小胞の成熟の制御を中心とした細胞内トラフィックの制御について調べることを研究目的としている。そこで、本年度は主に、Mycoplasma salivarium由来のリポペプチドであるFSL-1の取り込みメカニズムと、FSL-1刺激が細胞内トラフィックに及ぼす影響についての研究を行うことを計画していた。 実際に我々は以下のことを明らかにした。マクロファージ系細胞において、FSL-1の取り込みは温度依存的であり、また、そのエンドサイトーシスの経路はリピッドラフトあるいはカベオラ依存的ではなくクラスリン依存的であること、FSL-1はTLR2のリガンドであるがFSL-1の取り込みにはTLR2が無関係であること、FSL-1刺激により、細胞表面に発現しているTLR2は減少するが、細胞内に取り込まれたTLR2とFSL-1は共局在していないこと、さらにTLR2によるリガンド認識で共受容体として働くCD14ならびにCD36がFSL-1の取り込みにおいて重要であることなどを明らかにした。以上のことから、マクロファージにおいて、細胞表面に発現するTLR2によるリガンドの認識と、その後に起きるリガンドの処理は、それぞれ互いに独立した現象であることがわかった。 この研究成果は国際的な学術雑誌に掲載され(2010年3月現在in press)、微生物由来のリガンドによる炎症の持続や慢性化について考察する上で重要な情報が得られたと思われる。
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