2010 Fiscal Year Annual Research Report
微生物による宿主細胞への侵入と細胞内輸送の制御におけるリポタンパク質の役割
Project/Area Number |
21791780
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 晃 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90281815)
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Keywords | リポタンパク質 / 付着因子 / TLR2 |
Research Abstract |
マイコプラズマは細胞壁を欠いており、細胞膜リポタンパク質が、宿主細胞のToll様受容体(TLR)2で認識されることが知られており、また、一部のマイコプラズマは宿主細胞への侵入性を有することから、微生物の宿主細胞への侵入メカニズムと細胞内輸送の制御におけるリポタンパク質の役割を研究する上で、マイコプラズマのリポタンパク質を研究対象とするのは有用である。そこで、今年度は非淋菌性尿道炎や早産との関わりがあるマイコプラズマであるMycoplasma hominisのリポタンパク質を精製し、その性状を調べた。これまで本マイコプラズマのリポタンパク質については不明であったが、我々は以下のような知見を得た。 ・M.hominis由来新規リポタンパク質は、分子量40kDaでTLR2依存的、CD14非依存的にマクロファージにTNF-αを誘導する ・このリポタンパク質は、これまで報告のあった50kDaのアドヘジンとN末端アミノ酸配列が相同であったが、分子量が10kDa小さいことからP50の欠損変異体であることがわかった ・このリポタンパク質は欠損に関係なくマクロファージへの付着能を有していた ・TLR2に対する抗体は、このリポタンパク質の細胞への付着を阻害しなかった したがって、M.hominisには宿主細胞への付着や宿主マクロファージの活性化に関与する複数のリポタンパク質が存在することがわかり、このリポタンパク質はマクロファージを活性化するだけでなくTLR2非依存的に宿主細胞への付着に関与することなどが明らかにされた。以上のことは国際的な学術雑誌に投稿準備中である。さらにこの他、マイコプラズマがリポタンパク質を介して宿主細胞に影響を与えることから、マイコプラズマが培養細胞に混入した場合の除去方法についても検討した。
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