2010 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺ホルモンの骨芽細胞とその前駆細胞に対する細胞学的作用の相違について
Project/Area Number |
21791784
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
李 敏啓 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60447612)
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Keywords | 解剖学 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 歯学 / 骨 |
Research Abstract |
本研究の目的は、骨代謝に重要なホルモンである副甲状腺ホルモン(PTH)の骨形成作用における細胞機序を明らかにすることである。特に、「PTHは、成熟型骨芽細胞・前骨芽細胞・骨髄間質細胞といった骨形成系細胞にどのような細胞機能を誘導し、また、破骨細胞の存在下でどのように作用するのか」といった解明に向けて遺伝子組み換えマウスを用いながら細胞組織学的に検索を行った。前年度では、破骨細胞が存在しないc-fos^<-/->マウスへのPTH間歇投与による骨形成作用には破骨細胞とのカップリングが必須であるとの結論が得られたことから、本年度では、機能的にc-fosの下流に位置するRANKLシグナルの欠如で大理石骨病を示すRANKL^<-/->マウスに対して、同様にPTH間歇投与実験を行った。ところが、RANKL^<-/->マウスはc-fos^<-/->マウスと異なり、骨表面に多数の活性型骨芽細胞を認めたばかりでなく、細胞突起を伸ばして軟骨・骨基質を取り込む破骨細胞様の大型細胞を有していた。大型細胞はH^+-ATPase陽性・Mac-2陽性を示していたがTRAP/cathepsin K陰性であること、また、その直下にはセメントライン様の構造が認められることから、この大型細胞は破骨細胞とマクロファージの中間の性質を有すると示唆された。このような細胞環境を踏まえて、RANKL^<-/->マウスにPTH投与を行うと前骨芽細胞および活性型骨芽細胞の数が増加していた。また、破骨細胞様細胞はephrinB2陽性を骨芽細胞系細胞はEphB4陽性を示したことから、RANLK欠損状態では、破骨細胞様細胞と骨芽細胞系細胞とのカップリングが成立していること、さらにPTHは骨芽細胞系細胞の増殖を亢進し、その後、大型細胞とのカップリングにより活性型骨芽細胞に分化する可能性が推測された。
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