2009 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋顔面形成におけるレチノイン酸代謝酵素の役割の解析
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21791785
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 真土 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (40448105)
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Keywords | 頭蓋顔面発生 / 鰓弓 / Cyp26B1 / パターニング / 転写因子 |
Research Abstract |
先天的に頭蓋顔面領域に生じる奇形は統計的に約250出生に1人と頻度が高く、先天奇形の起こる原因も遺伝的な要因・環境要因・薬物による作用など多岐にわたる。頭蓋顔面の正確なパターニング(正しい位置に正しい臓器が調和を保ち形成される)の分子メカニズムを理解する目的で頭蓋顔面に形成異常を示す遺伝子改変マウスの詳細な解析を行った。生体内のレチノイン酸の代謝酵素であるCyp26B1の遺伝子ノックアウトマウスは胎生18.5日において頭蓋顔面を構成する全ての骨格に形成不全が認められ、この形成不全に先立ち胎生11.5日齢より急激な第1鰓弓領域への内因性レチノイン酸活性の増加が認められた。胎生11.5日齢マウス胎仔の鰓弓における網羅的な遺伝子発現の解析を行い、野生型と比べ発現の変化(増加・減少)している因子が複数同定された。同定された因子の中でも特にZinc fingerタイプの転写因子であるTrps1はその後の解析で胎生11.5日~胎生13.5日まで発現が常に低下していることが判明した。また、Trps1およびCyp26B1の遺伝子ノックアウトマウスの表現型が一部重複しているとからレチノイン酸シグナルの下流にTrps1が存在することが強く示唆された。Trps1は選択的スプライシングの結果4種類のバリアントが存在することが既にわかっているが、胎生期のマウス鰓弓ではそのうちの2種類が有意に発現していることがわかった。
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