2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔上皮におけるTRPV4の機能調節と食嗜好の決定の関係
Project/Area Number |
21791792
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
王 冰 九州大学, 歯学研究院, 学術研究員 (20452716)
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Keywords | TRPV4 / 口腔粘膜上皮 / 電気生理 / カルシウム / ラット / 低浸透圧 |
Research Abstract |
口腔はさまざまな刺激に常にさらされ、口腔の適切な感覚受容が咀嚼や嚥下・会話を可能にしている。私は口腔上皮細胞が口腔内の状態を感じ取ることができると仮説を立てて、外界環境センサーとして知られているTRPチャネルファミリーの発現をラットやマウスを対象として調べた。ラット口腔粘膜上皮におけるTRPV4の発現をmRNAレベルおよび蛋白レベルで確認した。また機能的な特徴を知るためにホールセルパッチクランプ法による電気生理学実験法をおこなった。TRPV4は特異的な作用薬あるいは阻害薬がなかったが、最近同定されたTRPV4特異的な作用薬GSK1016790Aにより内向き電流が認められ、阻害剤であるRN1734によりその電流は阻害された。単離した口腔粘膜上皮細胞のカバーグラスへの接着性を改善し、カルシウムイメージングによりTRPV4作用薬により細胞内カルシウム濃度が上昇し、TRPV4の阻害剤によりこの上昇が抑制された。また低浸透圧刺激によっても細胞内カルシウムの増強が見られ、この増強がTRPV4の特異な阻害剤に抑えられた。さらに、浸透圧刺激は口腔上皮からのATP遊離を促すこと、このATP遊離はTRPVチャネル阻害薬により抑制されることを示すことができた。 以上のことから、口腔の上皮にはTRPV4チャネルが機能的な受容体として発現していること、さらに、口腔粘膜上皮細胞が浸透圧刺激に対してTRPV4を介して細胞内へとカルシウムを流入させることを示すことができた。また伝達物質の候補としてATPも考えられた。これらは、口腔にはいってくる飲み物や食物の刺激に対して上皮が関わっていることを示唆している。
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