2010 Fiscal Year Annual Research Report
実験動物スンクスを用いた歯の代生と加生の分子メカニズムの探究
Project/Area Number |
21791794
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山中 淳之 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (80343367)
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Keywords | 歯の代生 / 歯の加生 / 乳歯 / 永久歯 / 二生歯性 / 実験動物スンクス / Shh |
Research Abstract |
ヒトを含め哺乳類の歯列には乳歯と永久歯の二世代の歯が存在する。永久歯のうち、切歯、犬歯、小臼歯は乳歯が生え代わった代生歯であり、大臼歯は乳歯の遠心に付け加わった加生歯である。歯の代生と加生を制御する発生メカニズムに関してはまだよく分かっていない点が多いが、これはマウスなどの実験動物の歯列が非常に特殊化していることが原因となっている。本研究は、全ての歯種が揃っている実験動物スンクスの歯列の発生を調べることによって、このメカニズムを明らかにすることを目的とした。 本研究では、まずスンクスの上下顎における全ての歯胚の発生順序を調べた。スンクスでは、乳歯胚が発生の過程で退縮してしまい、顎内で代生歯胚との交換が行われる。連続組織切片からの3次元再構築像と、歯胚上皮のマーカーであるShhのmRNAの発現を詳細に調べることにより、全ての乳歯胚、代生歯胚、加生歯胚の発生順序が明らかになった。その結果、隣接する歯胚は同時には発生が進行せず、帽状期の1次エナメル結節の形成時期をずらしていることが分かった。これにより、先行して発生する歯胚のエナメル結節から抑制因子が分泌され、周囲に新たな歯胚が形成されるのを遅らせていることが示唆された。これが本当なら、代生歯は同歯族の先行歯ではなく、一つ隣の先行歯によって発生が抑制されていることになり、歯の加生を制御するメカニズムと同じメカニズムが歯の代生においても働いていると考えられる。これらの研究成果は2本の論文に公表された(Yamanaka et al.,2010;Yamanaka&Uemura,2010)。
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Research Products
(4 results)