2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規なバイオフィルム形成遺伝子から探る口腔カンジダ症の発症・進行メカニズム
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21791797
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
柴山 和子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (60408317)
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Keywords | Candida albicans / 病原性 / 口腔カンジダ症 |
Research Abstract |
病原性真菌Candida albicansの新規な細胞表層分子に焦点を当て、同菌による全身および口腔領域における感染の成立から病原性の発揮に至るまでの遺伝子発現制御を含めた機能解析を行い、その複雑なメカニズムの包括的理解を目指している。この細胞表層タンパクは宿主-菌体間の相互作用やバイオフィルム形成を担うことが予想されるCFEMドメインを有している。 欠失変異株を用いコード遺伝子の特徴付けが進行中である。親株と比較し、欠失変異株において菌糸形増殖能および二形成変換能の減弱、抗真菌ペプチドへの感受性の低下が認められた。 欠失変異株の菌糸形におけるバイオフィルム形成能と、鉄の取り込み能に関する解析が進行中である。 欠失変異株のバイオフィルム形成能は親株のそれと比較して減弱している。また、欠失変異株の鉄結合能は親株と同程度であるものの、ヒトヘモグロビンを鉄源として利用する能力が低下していることが明らかになった。 機能確認のためURA3マーカーおよびRP10 integration vectorを用いて標的遺伝子のcomplementation株の構築を試みているが、現在のところ成功に至っていない。ベクターの改良やPCR法の応用などを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Candida albicansの研究報告に乏しい新規分子の機能解析により、その病原性に関与すると考えられる二形成変換能や鉄利用能を明らかにした。C. albicansの病原性発揮に至る複雑なメカニズムを包括的に理解する足掛かりになるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
標的遺伝子の欠失変異株を用いて、バイオフィルム形成時のCandida albicansの抗真菌ペプチドに対する感受性について、より詳細な検討を行う予定である。また、マイクロアレイによりC. albicansの病原性に関与する遺伝子発現制御を含めた網羅的解析への展開を視野に入れている。加えて、同遺伝子のCFEMドメイン領域のノックアウトにより、このドメインが病原性に担う役割を明らかいしたいと考えている。 complementation株の構築により研究が更に確固たるものになると思われるが、作製に困難を極めているためintegration vectorの改良やPCR法の応用等を試みる。
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