2009 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによる間葉系幹細胞の細胞運命決定機構の解析
Project/Area Number |
21791799
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内藤 昌子 Nihon University, 歯学部, 助手 (40436803)
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 脂肪細胞分化 / 骨芽細胞分化 / Wnt / β-catenin |
Research Abstract |
本年度は、間葉系前駆細胞の分化におけるWnt/β-cateninシグナルの機能解析と活性変化の解析を行った。はじめに、間葉系前駆細胞のモデル細胞株であるROB-C26(C26)細胞を用いて、Wnt3a組み換えタンパク質を添加することによりWnt/β-cateninシグナルを活性化させた。Wnt3a刺激により細胞内伝達分子であるβ-cateninタンパク質の発現が亢進し、初期の骨芽細胞のマーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)の発現が増加した。ところがWnt3a刺激による骨芽細胞分化を制御する転写因群(Runx2, Dlx5)の発現量の変動は認められなかったが、脂肪細胞分化を制御する転写因子群(PPARγ2,C/EBPα,β)の発現量が低下した。この結果から、Wnt/β-cateninシグナルは、間葉系前駆細胞の脂肪細胞分化を抑制することが推察された。次に、C26細胞を用いてDexame七hasone(Dex)刺激により脂肪細胞分化を誘導し、β-cateninタンパク質の発現量とWntシグナル活性の変動を組織学的に解析した。Dex刺激により核内と細胞質内のβ-cateninタンパク質の発現量が低下した。 TOP-GFPレポーターアッセイ系によりWnt/β-cateninのシグナル活性を可視化させ、Wnt/β-cateninシグナル活性と脂肪細胞マーカー分子の関係を調べた。Dex刺激によるPPARγ陽性細胞の出現に関連して、TCF/LEFを介する転写活性が抑制されたことから、Wnt/β-cateninシグナルの活性と脂肪細胞形成能が逆相関にあることが明らかになった。本研究は、これまで明らかにされていなかったDex刺激による脂肪細胞分化誘導時のWnt/β-cateninシグナル活性変化の特徴を、TOP-GFPレポーターシステムを用いて形態学的に明らかにした。
|