2011 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによる間葉系幹細胞の細胞運命決定機構の解析
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21791799
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内藤 昌子 日本大学, 歯学部, 助教 (40436803)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 脂肪細胞分化 / 骨芽細胞分化 / Wnt/β-catenin |
Research Abstract |
本研究では、Wnt/β-cateninシグナルに着目し、間葉系前駆細胞分化における本シグナル経路の分子の発現および活性解析と機能解析を行なっている。平成23年度は、dexamethasone(Dex)によるWnt/β-cateninシグナルの制御機構を中心に解析を行った。 はじめに、C26細胞をDex存在下または非存在下で18日間培養し、Wntリガンドおよびアンタゴニストの発現変化をRT-PCRにて解析した。Wntリガンドについて、Wnt10bとWnt3a mRNAの発現はDexによる発現量の変動は検出できなかった。Wnt antagonistsとして分類されるDKKIとWIF1 mRNA発現レベルは、Dex刺激により発現が増加した。ChIPアッセイの結果、Glucocorticoid Receptor(GR)は、Dex刺激依存的にDkk1のプロモーターに結合することが明らかになり、直接発現を誘導していることが示唆された。β-cateninの分解に関与するAxin2のmRNA発現レベルはDex刺激初期に増加が観察された。β-cateninの分解に関与するGSK3βのリン酸化状態をWestem blottingにより検討した結果、Ser9のリン酸化が減少していることが観察され、DexはGSK3βを活性化させることが考えられた。興味深いことに、GSK3β阻害剤をDexに加えて培養すると、Dex誘導性の脂肪細胞分化が抑制された。つぎに、Axln2 shRNAにより機能阻害実験を行うと、初期の骨芽細胞マーカーであるALP陽性細胞およびALP活性が増加した。これらの細胞にDex刺激を与えると、脂肪細胞分化が抑制された。 以上の結果から、DexはWnt経路の負の制御因子(DKK1,WIF1 Axin2)の発現を増加させ、GSK3βを活性化し、β-cateninの発現を抑制することでWnt/β-cateninシグナルを抑制し、脂肪細胞分化が誘導されることが考えられた。
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