| Research Abstract |
本研究では、超高磁場磁気共鳴画像法(MRI)を用いて小動物の機能的MRI(fMRI)の味覚中枢研究モデルを碓立し、味覚中枢情報処理機構を明らかにすることを目的としている。本年度は,大脳味覚野の応答に対する麻酔の影響,大脳味覚野応答に含まれる体性感覚の影響を検討した。また,異なる味溶液とその濃度変化の刺激に対する大脳味覚野の応答を検討した。
味溶液と同様の方法で蒸留水の刺激を行ったところ,大脳味覚野における応答は得られず,口腔の体性感覚野領域に応答が得られた。この領域は味刺激を行った場合にも得られた。従って,味溶液による口腔内の体性感覚は,大脳味覚野においてほとんど影響のないことが示唆された。次に,麻酔の影響について検討を行った。これまで使用している腹腔内投与のウレタン,吸入麻酔のイソフラレンを使用した場合の大脳味覚野応答の測定を行った。ラットにウレタン麻酔を施した場合,甘味刺激(スクロース0.5M)による大脳味覚野の応答は再現よく得られた。一方,イソフラレン麻酔を施した場合,大脳味覚野の応答は良い再現性が得られなかった。従って,その後の実験に関してはウレタン麻酔を施して行うこととなった。ウレタン麻酔を施したラットに対し,甘味刺激(スクロース:0.1,0.5M),塩味刺激(NaCl:0.1,0.5M)による大脳味覚野の応答を測定した。甘味刺激(0.1,0.5M),塩味刺激(0.1,0.5M)ともに,大脳味覚野において左右非対称な応答が得られた。また,甘味刺激では大脳味覚野において正のfMRI信号が得られたが,塩味刺激では負のfMRI信号が得られた。正負の信号は異なる濃度でも同様であったが,信号強度は濃度に依存していた。現在,大脳味覚野の応答と他の脳領域(前頭前野,側坐核,体性感覚野など)の関連の解析を行っている。
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