2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791807
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹内 弘 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (70304813)
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Keywords | シグナル伝達 / 脂質 / 開口分泌 |
Research Abstract |
本研究では新規分子PRIPを欠失したマウスにおける様々なホルモンの分泌亢進という現象の機構をPRIPの既知の機能との関わりで解明することを目指した。平成22年度は初年度に確立した開口分泌のアッセイ系やPRIPの各種変異体を安定的に発現するPC12細胞のクローンを用いて実験を行った。各クローンを[3^H]ノルアドレナリン(NA)で標識しNA放出を調べたところ、野生体PRIPはその発現量に依存しNA放出を抑制した。一方、開口分泌調節で重要な細胞膜リン脂質ホスファチジルイノシトール4,5-ニリン酸(PtdIns(4,5)P_2)と結合しないPRIP変異体(R134Q)はNA放出を抑制しなかった。開口分泌を司る最小構成分子SNARE複合体を組み込んだ人工リポソームを用いて膜融合実験を行ったところ、PRIPはCAPS (Ca^<2+>-dependent activator protein for secretion)存在下でPtdIns(4,5)P_2依存的に促進される膜融合を阻害した。PRIPのR134Q変異体ではこの阻害効果は一部に限局された。すなわちPRIPはPtdIns(4,5)P_2結合能依存的に開口分泌の最終過程である膜融合を抑制するが、PtdIns(4,5)P_2に依存せず開口分泌を抑制する機構の存在も示唆された。さらに、この実験を行う過程でPRIPはSNARE分子を介してリポソームと結合することも見出した。 本研究からPRIPのPtdIns(4,5)P_2結合能依存的な膜融合抑制作用に加え、SNARE分子との直接的な結合など、PRIPの開口分泌における予想外の新たな機能の存在も明らかとなり、さらなる研究展開のための足場を得た。これらの結果は普遍的かつ重要な細胞機能の一つである開口分泌の調節機構における新しい分子の存在と役割を認知させるという学術的意義を持つ。
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Research Products
(10 results)