2010 Fiscal Year Annual Research Report
新生マウス脳幹脊髄摘出標本を用いた吸啜運動に関与するプレモーターニューロンの解析
Project/Area Number |
21791814
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 助教 (00433798)
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Keywords | 口腔生理学 / 神経回路 / 顎運動 |
Research Abstract |
本研究では、吸啜運動のリズムを形成する神経メカニズムを明らかにすることを目的に、新生マウス脳幹-脊髄摘出標本を用いて実験を行った。実験には生後0-2日齢のICRマウスを用いた。ジエチルエーテルで深麻酔後断頭し、酸素を飽和させた氷冷人工脳脊髄液中で中脳下丘から第7頸髄までを摘出した。摘出した標本は、記録用チャンバーに移し、酸素を飽和させた室温(25-27℃)の人工脳脊髄液を灌流した。吸啜運動は、NMDAを灌流液中に投与することによって誘発した。NMDAを投与したことにより誘発された神経活動を三叉神経運動根および舌下神経から記録した。三叉神経運動根からは、二種類のリズミックなバースト発射が記録された。一つは、低周波数のリズムであり、左右の三叉神経で同期して活動がみられた。この低周波数のリズムは、舌下神経の活動とも同期していた。もう一つは、高周波数のリズムで、左右の三叉神経の活動は、独立していた。この高周波数のリズムに対応する活動は、舌下神経には見られなかった。脳幹-脊髄摘出標本を正中部分で完全に切断し、左右片側の標本を作製した。この場合に、三叉神経運動根では、高周波数のリズムのみが記録され、低周波数のリズムは消失した。また、脳幹-脊髄摘出標本の延髄部分のみ左右に分離した標本でも、完全に左右分離した標本と同様に、高周波数のリズムのみが観察された。この際、舌下神経では、低周波数のリズムが観察されていた。延髄の尾側部分のみを左右分離した場合には、三叉神経運動根で、低周波数と高周波数の両方のリズムが観察され、左右切断していない完全な標本で見られるリズムと同じであった。これらの結果から、低周波数のNMDA誘発リズムのリズム形成回路網から、三叉神経運動ニューロンへの入力には、延髄吻側を通る交叉性の介在ニューロンが関与していることが示唆される。
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Research Products
(3 results)