2010 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞が分泌するWntによる骨代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
21791818
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90434480)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / カップリング / Wnt / 細胞間情報伝達 |
Research Abstract |
破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスは細胞間情報伝達を介するカップリングにより維持されると考えられている。私は、平成21年度において、破骨細胞にWnt10aというサイトカインが発現していることを見いだし、破骨細胞と骨芽細胞の共存培養系を用い、破骨細胞から分泌されるWnt10aによる骨芽細胞のアルカリホスファターゼ(ALP)活性亢進作用を検出しようとしたが系を確立できなかった。 平成22年度は、以下に記す3点を明らかにした。 1.破骨細胞の培養上清及び細胞破砕物を用いて骨芽細胞に対するALP活性亢進作用を証明することを試みた。しかし、いずれを用いてもALP活性は変化しなかった。 2.(1)Wnt10a以外に破骨細胞から分泌されてカップリングに関与するWnt関連遺伝子を探索した。1週齢、4週齢、8週齢、18週齢のマウスの血液を採取し、骨代謝マーカー(骨吸収マーカーとしてTRACP5b活性、骨形成マーカーとしてALP活性)を測定した。脛骨からcDNAを調製し、Wnt関連遺伝子の発現をリアルタイムPCRで調べた。 TRACP5b活性、ALP活性とも1週齢で最も高く、週齢を追うごとに減少した。Wnt関連遺伝子のうち、骨において発現が高かったものの発現パターンは、1週齢と4週齢が同程度でその後減少するパターン(Wnt5a, Wnt16, Ror2, LRP6)と、1週齢から4週齢で増加し、その後減少するパターン(wnt4, LRP5, Sost, DKK1)に大別された。 (2)Wnt5aに関して、Wnt5a欠損マウスを用いて、破骨細胞の極性化に関わることを見いだした。Wnt5aは、破骨細胞に作用して、低分子量Gタンパク質であるRhoとRacを活性化した。Rhoの阻害剤は、破骨細胞の極性化を抑制した。これらの点に関しては、現在更に詳細な検討を行っている。
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