2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯エナメル質による放射線被曝線量評価:in vivo ESRを用いた補正法の検討
Project/Area Number |
21791824
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岩崎 昭憲 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10437676)
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Keywords | 既存ESR信号 / L-band / 共振器 / 生成効率 |
Research Abstract |
1.既存ESR信号の測定 本学外来で提供を受けた人の抜去歯を用い、バックグランド信号の計測を行った。計74本の天然歯を測定対象とした。測定条件は、ESR線量測定装置の実用を想定し、人が実際に口を開けた状態で維持できうる5分以内に完了するように、掃引磁揚25gauss、走査時間30秒、積算回数30回、変調磁場4.0gauss、時定数5msecで行った。結果として、平均EPR信号強度0.017014±0.011049a.u.で最小値0.000647a.u.、最大値0.04757a.u.とばらつきのある信号が観察された。ヒストグラムによる分析では、その分布は対数正規分布に従うことが確認された。バックグランド信号の発生は、L-bandで、抜去状態で共振器の内側に歯エナメル質を留置し最大感度検出領域で計測した場合シグナルの検出可能であるが、口腔内からのL-bandによる計測では、検出限界感度が更に低くなり、現状で単独の補正をするためには、共振器自体の更なる向上が必要であると考えられた。しかし、この既存信号が、検出限界に影響していることが確認され、人での実用計測においては、検出値に一定のESR信号が重なっており、特に低線量領域での判断には、既存信号の割合が高くなっていることを認識しておく必要がある。ESR線量測定の実用化に向けた重要なデータとなった。 2.放射線の線源別のESR信号生成効率 50kVおよび150kVのX線、および10MeVの電子線、Co-60ガンマ線で実際の抜去歯に照射を行い、ESR信号生成状況を計測した。X線照射により線量に比例した信号の生成が確認された。50keVと150keVには、有意な生成効率の差は確認できなかったが、電子線及びガンマ線では、生成効率はX線に比べて低く約1/3から1/4であった。被曝の際の線源の種類によるESR信号の解析に有用なデータとなった。
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