2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791831
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
馬谷原 光織 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384184)
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Keywords | カンジダ / 口腔カンジダ症 / 義歯性口内炎 / 口腔内環境 |
Research Abstract |
カンジダは義歯性口内炎のようなカンジダ関連病変を引き起こすことが知られており、近年では原因不明である舌痛症もカンジダの関連病変と指摘される.患者義歯へのカンジダ付着要因には,(1)レジン床表面の性状,(2)口腔内環境,(3)カンジダ種,などの多数因子が報告される。さらにレジン床表面性状(粗さ、疎水性)では多数報告があるが、表面粗さ関与に矛盾点があり、また本邦歯科用レジンを用いた報告は少ない。本研究は過去の問題解決を起点とし最終的に治療のための基礎研究を目的とした。H22年度までは当初の目的である義歯表面とカンジダ関連疾患について分析を進め、H23年には本学倫理委員会にて臨床研究を進める許可を得た。しかし、これまで我々が得た「義歯床用レジン床へのカンジダ付着」に関する研究成果は表面性状以外に「C. albicansの二形性(酵母型,菌糸型)」が義歯付着増加に強い関連があることを示しており、従来の義歯洗浄法や抗真菌薬を用いた治療法とは全く異なる、C. albicans特性を利用する効率的なカンジダ関連疾患抑止の可能性が開けた。要点としてC. albicansが菌糸型をとる場合に病因となる付着が開始され、一方の酵母型では疾患への関連が薄いということである。H23年度は義歯へC. albicanの付着量増加はレジン床表面粗さなどの理工学的指標以外に二形成が大きな影響を及ぼすことを報告(論文投稿中)し、義歯用レジン以外の材料との関連とC. albicans以外の病因となるカンジダ属(C. glabrata, C. tropicalis)について検討を続けている。本研究成果は病因となるC. albicansが菌糸型に変化しない制御が、口腔内におけるカンジダ関連病変を効率的に抑止する治療方法に結びつくことを示した。今後さらに本研究を応用した臨床研究を進める。
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